近年東洋医学が見直され、それまでは西洋医学一辺倒だった医院でも、漢方薬が処方されるようになりました。
実際に病院で漢方薬を処方された経験のある方も少なくないのではないでしょうか?
化粧品会社である私たちもまた、漢方の持つ様々な成分に注目するようになりました。
漢方薬が広く世間に浸透する中、一部の消費者から
「自分に合うだろうか?」
「身体に取り込むのだから、安心できるものを選びたい」
といった声があがりました。
事実、日本国内に流通する和漢のうち、
国産は12%しかないのです。
奈良県は古くから漢方との縁が深く、吉野周辺では現在も漢方薬や漢方を使った商品の生産が行われています。
漢方は、大陸の文化を学ぶために派遣された遣隋使・遣唐使によって伝えられたとされています。仏教を伝えるために奈良県に渡ってきた中国の僧たちもまた、漢方を日本へ伝えました。
中国の僧たちは、病に苦しむ人々を助けるため、仏教とともに都である奈良県に、漢方の技術と知識をもたらしました。これにより奈良県で和漢の栽培と漢方薬の生産がはじまりました。
江戸時代までは、薬といえば漢方でした。
奈良県の和漢で作られる薬が、多くの人々を癒しました。
しかし、西洋医学の流入と近代化が進むにつれ「東洋医学よりも西洋医学」「大企業で量産される商品のほうが安心」といった空気が世の中に流れるようになりました。
90年代後半にその良さが見直されるまで、国産の和漢は、長らく見過ごされてきたのです。
そんな中にあっても、奈良県の地質、清らかな吉野山系の伏流水は和漢の栽培に非常に適しており、奈良県では栽培が続けられてきました。
歴史と品質にプライドを持つ生産者たちが、その優良な種苗を現代まで大切に維持してきたのです。
国産の和漢の需要が高まるにつれ、奈良県では、農家・問屋・行政などが一体となって、和漢植物を守り・育てる取り組みが行われるようになりました。それらは「やまともん」と呼ばれ、非常に高く評価されています。